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 バフォメットについて




 以下に示した図版は様々なオカルト関連の書籍の中で繰り返し引用されているものである。中には左右を逆に複写した笑止なものまで存在するが、その出典を明らかにすると、これはエリファス・レヴィが『高等魔術の教理と祭儀』の中で、「サバトの牡山羊−バフォメとメンデス」と題して紹介した図である。 baphomet.gif

 エリファス・レヴィの説明では、この図には次のような象徴的意味が込められている。



 本来、バフォメットとは聖堂騎士団が崇拝した偶像のことといわれる。バフォメット(Baphomet)という名称は、「人間の全宇宙的平和の寺院の父」という意味の、"Templi omnium homonium pacis abhas"の省略語である "Tem. ohp. Ab"を逆に読んだものであるという。またそれは同時に、明らかにマホメット(Mahomet)の転訛したものでもあると考えられている。

 だが、1307年に聖堂騎士団が異端で告発された際に、バフォメットを崇拝していると告白したものはごく小数であり、その姿についての証言も様々に異なるものであった。バフォメットという名称についても、モンタギュー・サマーズによれば、「知識の吸収」を意味するギリシア語 baphe metis に由来するという説もある。従って単純に聖堂騎士団に由来する表象であるという訳ではない。

 いずれにしてもバフォメットは中世において、悪魔の同義語、あるいは悪魔の一名称として使用されていた。そのためサバトの首領としての魔女の神とみなされるようになる。


 そして近代に至り、エリファス・レヴィが、古代エジプトのメンデスで信仰されていた牡山羊と悪魔のイメージを結合させてこの図を描いたことにより、明確な表象としてのバフォメットが確立されたといって良いであろう。


last updated 1997/02/19