変身妄想あるいは獣化妄想(zoanthropy)と呼ばれる、人間が獣に変身するあるいは憑依されるという現象は世界各地で記録されている。 　その形態を分類すれば下記のようになる。
	内的（妄想的） 積極的 召喚、自己の本質に覚醒。 自己自身の変革・変身 消極的 悪意・善意その他による憑依。 外的（分裂的） 敵対的 他者の悪意による憑依。魔女の呪いなど。 自己内他者の出現、自己の萎縮・喪失。 庇護的 自己の願望に呼応した憑依。
	以下は各地での獣類への変身ないし憑依現象の名称である。
	名称 説明 別称 lob omen ロブ･オーメン ポルトガルでの狼男の呼称。 　 Were-Bore 猪憑き 狼憑きの一種。猪に変身するもの。ギリシアやトルコの伝説に登場する。 猪憑き Magan gadungan マガン・ガドゥンガン 狼憑きの一種で虎に変身するもの。インドネシア･ジャワ島の伝説に登場する。 　 lycanthrope 狼人 　狼人、狼憑きのこと。医学的には変身妄想、獣狂などと呼ばれる。変身した怪物としての俗に云う狼男・狼人間は、英語ではウェアウルフ(Werewolf)、フランス語ではルガルゥ(Loup-garou)という。 狼人間 リカントロープ loup-garou 狼人 　狼の姿をした人間あるいは妖精。フランス語での狼男の呼称。 人狼 ルー・ガルー werewolf 狼男 　狼に変身した怪物としての人間。その原因は、悪魔との取り引きや狼に取り憑かれていると信じる狼狂、あるいは狂犬病などの病気であるとする説もある。 狼人間 狼憑き lycanthropy 獣化狂 　何等かの獣類に変身しうるあるいは他人を変身させることが出来るという現象。医学的には妄想とみなされる。 変身妄想 狼化妄想 cynanthropy 犬化妄想 　犬に変身すること、あるいは変身したと妄想すること。 　 alopecanthropia 狐憑（きつねつき） 　狐の霊魂に憑依される事、あるいは本人がそう信じている状態。 　 werewolf ghost 亡霊狼男 　死後、霊体としての狼男になった人間のこと。イングランド王ジョンは、毒殺されてから狼男になって復活し、地方の住民を恐怖に陥れた。 狼男の幽霊 vilkatas ヴィルカタ リトアニアに伝わる狼憑きのこと。ヴィルコラキとも呼ばれる。 　 vilkolakis ヴィルコラキ ＝ヴィルカタ。 リトアニアの狼憑きの別称。 　 Were-Dog 犬憑き 狼憑きの一種。 1.ティモール島の伝説。犬に変身し、他の人間を動物に変身させる力を持つ。 　 lefarou レガルー ハイチの伝説で、吸血鬼と狼憑きをさす語。フランス語のルー･ガルーに由来。 　 were-tiger 虎憑き 虎に変身した人間。 　 lob ombre ロブ・オンブレ スペインでの狼男の呼称。 　 lupo manaro ルポ・マナロ イタリアでの狼男の呼称。 　 were-bear 熊男 北米やロシアに伝わる熊に変身した人間。 熊憑き were-hare 野うさぎ憑き 野うさぎに変身した人間。 　 were-crocodile 鰐男 鰐に変身した人間。 ワニ憑き were-jackal ジャッカル憑き ジャッカルに変身した人間。 　 were-hyena ハイエナ憑き ハイエナに変身した人間。 　 were-leopard レパード憑き レパード（ヒョウ）に変身した人間。 　 were-jaguar ジャガー憑き ジャガー（アメリカヒョウ）に変身した人間。 　 jaguar-man ジャガー・マン ジャガーに変身した人間。 　 anjing ajak アンジン・アジャク インドネシア･ジャワ島での狼男の呼称。 　 vseslav フセスラフ ロシアでの狼男の呼称。 　 vilcolac ヴィルコラク 東欧諸国での狼憑きの呼称。
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